「教師にならない師範大学の学生を『不誠実者リスト』に」小学校副校長が提言

出典:'本站原创' 掲載時間:2020-06-12
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全国人民代表大会代表の劉発英さん(撮影日不明)。

「教師を養成するための師範大学を卒業して教師にならない学生が多い。『不誠実者リスト』をつくり、名前を登録すべきだ」――全国人民代表大会(全人代、国会に相当)代表の劉発英(Liu Faying)さんは先月、全人代でそんな提案をすると発言し、話題を呼んだ。

劉さんは湖北省(Hubei)長陽トゥチャ族自治県(Changyang Tujia Autonomous County)にある花坪小学校の副校長。2005年から、貧困や家庭環境の問題で学校に通えない児童にインターネットを通じて指導する取り組みを始めており、「中国インターネット教育の第一人者」として知られている。

全人代は例年3月に行われるが、今年は新型コロナウイルス感染症の影響で5月にずれ込んだ。市民代表に選ばれた劉さんは、その全人代で「教師の給与などの待遇改善」「教師の社会的地位の向上」、そして「教師にならない学生の不誠実者リスト作成」を提案すると発言した。

中国では北京、上海、広州市(Guangzhou)など全国各地の主立った都市に師範大学があるが、卒業生が小中学校や高校の教師を敬遠して一般企業に就職する問題が以前から指摘されている。

中国の受験競争はすさまじく、なおかつ大半の生徒が一人っ子のため、教育熱心な保護者から教師に対し、要望や相談、クレームが矢のように飛んでくる。受験競争が過熱しないよう教育委員会は建前上、補習を禁止したり宿題の量を制限したり指示しているのだが、親の要望を受けて結局は「学校長の裁量」として補習を行い、たくさんの宿題を課すことになる。その分の給料は増えず、教師はひたすら心身の疲れがたまっていく。

農村部の教師になると、都市部との教育格差に直面する。両親が出稼ぎに出ていて祖父母と暮らす児童・生徒は学習する環境や意欲に欠ける傾向がある。教育設備も劣るため、教師に意欲があっても空回りが続く。こうして都市部でも農村部でも教師がやりがいを失って辞職するケースが多く、その現実を知った師範大学の学生たちが教壇に立つことを敬遠するようになっている。

劉さんもそうした現状を肌で感じているため、まずは「教師の待遇改善」と「地位の向上」を訴えている。その一方で劉さんはインターネット教育だけでなく、学校に通えない児童の自宅に行き、マンツーマンで勉強を教えてきている。一般から義援金を募り、これまでに2200万元(約3億4018万円)を集め、貧困家庭の児童に援助もしている。「教師は大変」と最初から教職の道を選ばない師範大学の学生にも強い不満を抱いているようだ。

劉さんは「教育者としての初心と情熱を忘れてはいけない」と強調している。劉さんが全人代で独自の提案をしても法制化などの措置が取られることは考えにくいが、教師たちが置かれている厳しい現状を訴えると同時に、若い学生たちに「喝」を食らわす狙いがあるようだ。

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