オンライン授業に取り組む日本語教師/新型コロナウイルスに向き合う--中国にとどまる日本人(2)

出典:人民網 掲載時間:2020-03-19
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春節(旧正月、今年は1月25日)前後から急速に感染が広がった新型コロナウイルス。中国各地で春節休暇が延長され、学校は新学期開始を遅らせたり、オンライン授業に切り替えるといった対策がとられている。企業や工場も営業や操業開始時期の延期やテレワークへの切り替えを行い、2月下旬からは段階的に出勤や操業も始まっている。人民網ではこうした状況の中、中国で生活や仕事を続けている日本人を取材し、彼らの目を通して新型コロナウイルス影響下での日々を紹介していく。


大学の日本語教師 田中恵子さん
「ネット上とはいえ、授業ができることのありがたさを感じている」

北京にある大学で日本語教師をしている田中恵子先生(仮名)は、大学の授業がある学期中は北京に単身赴任しているが、新型コロナウイルス感染の発生と流行の影響を受け、現在は自宅のある天津市で学生たちにオンライン授業をする毎日を送っている。

初のオンライン授業に挑戦

田中先生の勤める大学では新学期開始の延期は行われずに、オンライン授業に切り替えて授業を始めることになったため、教師たちは2月上旬からその準備に追われた。大学側は大学ネットワーク内にあるオンライン授業用のソフトを使用して授業を行うという方針だったが、田中先生はまず大学ネットワークの「大海原」で迷ってしまい、ソフトと大学ネットワークとの「繋がり」をなかなか見いだせず、そしてソフトの使い方も習得が必要と、その準備作業は困難を極めたという。さらにいざ授業は始まったものの、サーバーの容量が十分でなかったせいか、最初の2日間は、3回ほど停止してしまい、授業が続行不可能になるトラブルにも見舞われた。

四苦八苦の教師 授業再開喜ぶ学生

田中先生自身は普段からパワーポイントや動画を使った授業を行っていたこともあり、パソコンを使った教材作りは比較的手慣れていたとはいえ、オンライン授業用のソフトに合わせた教材づくりにはかなり時間を要しているという。当然ながら使い慣れていない教師はさらに苦戦を強いられているそうで、結局オンライン授業用のソフトを使いこなせず、微信(WeChat)やビデオ会議アプリなどを利用し、授業を進めている教師も少なくないという。

一方学生たちは、勉強熱心な学生が多く、オンラインでも授業が受けられて嬉しい様子だという田中先生。ただネット環境が十分ではない状況の学生たちはなかなか大変なようだ。なかにはスマホしか持たずにネット環境が整っていない地方の親戚を訪ねていたところ、そのまま足止めされてしまった学生もおり、ネット環境や学習環境に格差が生じているため、田中先生は授業開始前にアンケートを行い、そうした環境の格差にも配慮しながら授業を進めている。


オンライン授業なりの素晴らしさも発見

このように教師も学生も一定の不便さを強いられているオンライン授業ではあるが、「ネット上とはいえ、授業ができることのありがたさを感じている」と田中先生。そして実際、オンライン授業を経験したことで初めて、「オンライン授業は語学の授業には向かないのではないか」というこれまでの考えが変わったという。田中先生はこれまで授業で学習者同士が学び合う「協働学習活動」や「アクティブ・ラーニング」などの教室活動を実践しており、それらをオンライン授業で実践するためには更なる工夫も必要だが、学習者が異なる場所にいるからこそ、「インフォメーションギャップ(情報格差)」を利用した教室活動や「SHOW&TELL(何かを見せながら話す)」といった活動がより行いやすいことを今回発見できたという。

家族や愛猫と一緒で得られた安心感

普段は北京に単身赴任のため、田中先生の生活は不規則になりがち。そのため今回、天津に滞在中の長期休暇中に自宅待機になったことを、「不幸中の幸いだった。夫やすでに高齢な義理の両親を心配せずにすみ、何か起きてもそばにいることができるから」とした。また自宅には愛猫もおり、外出できない日々でも精神的な安心感を得られているという。

田中先生から武漢と中国の皆さんへの応援メッセージ

お亡くなりになった皆様のご冥福をお祈りします。医療関係者でお亡くなりになった皆様、私たちを助けるために申し訳なかったと思います。ご家族の皆様の悲しみが癒えますように。発症されて今も病床にいる方の1日も早い快復を望みます(文・玄番登史江)。

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