古来、造船は人類文明の発展の重要な構成要素であり、その国の科学技術水準と総合的な国力を体現するものだった。
それでは、中国の造船業はどのような発展段階を辿ってきたのか。また、世界の造船業の技術革命と産業変革の新たなラウンドで、今後中国にはどのような課題があるのか。
大連海事大学(Dalian Maritime University)輪機工程学院の張洪朋(Zhang Hongpeng)教授は取材に応じ「中国は世界で最も造船の歴史が長い国の一つで、これまで三つのピークを経験してきた」と語った。
一つ目は秦と漢の時代で、中国は十丈(約30メートル30センチ)以上の高さの船を建造し、甲板上には数層の楼を建て、船体には引き綱、櫓(やぐら)、帆、楫(かじ)などが装備されていた。
二つ目は唐と宋の時代で、造船業がより成熟していた。
大連造船廠で進水した17万5000立方メートルのLNG船(提供写真)。((c)CNS)
三つ目は明の時代で、鄭和の7回の西域航海(インド、中東、東アフリカ一帯)の宝船(ほうせん、艦隊の主力の大型船)の船体は巨大で、浸水防止の隔壁構造、羅針盤、速度計測法、測定制御器、天体観測用アストロラーベ、さらに航路記録や海図作成など、高度な航海技術を有していた。
1949年の新中国建国後の造船業の発展は、さらに二つの段階に分かれる。建国当初は旧ソビエト連邦の援助を受け、60年以降から自力造船を始めた。78年の改革開放から今日に至るまで、中国の造船業は、計画経済から市場経済へ、国内市場から国際市場へ、造船小国から造船大国へと、三つの大きな歴史的飛躍を遂げてきた。
今や中国は世界の造船大国となっている。張教授は、現在中国の造船業の最大の優位点は、自主設計と自主艤装がますます増加し、より多くの国産製品が全ての船舶に使用され、研究開発設計、造船プロセス技術、管理水準が日に日に強化されている点であり、それら全てが造船技術力のレベルアップと実力の保障につながっているとの見方を示している。
現在、中国の新造船のオファー価格とコストは、日本や韓国などに比べ相対的に有利な立場に立っている。近年、韓国の造船業は深刻な労働力不足に直面しており、造船のコストパフォーマンスの優れた中国が国際市場で好まれている。
中国の今後の課題は、「造船大国」から「造船強国」へ移行することだ。この目標を達成するため、中国は少なくとも次の三つの問題を解決する必要があるという。
一つ目は、産業サプライチェーンの安定性をさらに高めることだ。造船業は、鉄鋼、非鉄金属、機械、電子機器など50以上の産業が必要で、それら産業のサポート能力をさらに強化するだけでなく、産学官の共同研究と取組みが必要だ。
二つ目は、急増する労働力需要を満たすことだ。近年、スマート製造のレベルが大幅に向上し、造船所は大幅に必要な労働力数減少させたが、機械による自動化が全ての分野で人を不要にすることにはならない。
三つ目は、生産能力の適時調整だ。今、世界の造船市場の緩やかな回復は、多くの社会資本の注目を集めているが、現在の世界の造船能力は、世界の新造船発注の市場規模を十分に満たしており、早急に関係部署で連携を図り、生産計画を最適化する必要がある。(c)CNS/JCM/AFPBB News
※この記事は、CNS(China News Service)のニュースをJCMが日本語訳したものです。CNSは1952年に設立された中華人民共和国の国営通信社です。