人工知能(AI)に対する関心が高まる中、第一陣の「AI公務員」がすでに深セン市(Shenzhen)で実際に働き始めている。
深セン市福田区は最近、70名のスマート行政「新職員」を導入した。これらのAI職員は、11のカテゴリーで240の業務シナリオをカバーしており、公文処理、民生サービス、緊急管理、投資誘致など、非常に幅広い業務をこなしている。
しかも、その効率は非常に高い。公文フォーマットの修正は正確率95パーセント以上、審査時間を90パーセント短縮、エラー率は5パーセント以内に抑えられている。さらに、「執法文書生成アシスタント」は執行記録を瞬時に文書の下書きに変換する。「民生要望の分類」では正確率が70パーセントから95パーセントに向上し、「安全生産アシスタント」はシナリオスクリプトの生成効率を100倍に引き上げた。
DeepSeekのアプリ画面(2025年2月5日撮影、資料写真)。(c)東方新報
このニュースはすぐに中国SNS「微博(ウェイボー、Weibo)」で話題となり、多くのネットユーザーが「福田区の安定した職場がAIによって揺さぶられている!」と冗談を交えつつも、全国への導入を期待する声が多く上がった。
実際、2024年以降、北京市、広東省(Guangdong)、江蘇省(Jiangsu)、遼寧省(Liaoning)、江西省(Jiangxi)、内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)など多くの地域の行政システムがAIツールの深度求索(DeepSeek)を導入しており、特に市民の窓口となる「12345ホットライン」に導入されている。これにより、行政サービスがより便利になっている。
例えば、遼寧省の12345ホットラインは、DeepSeekの導入により、データ整理の効率が従来の20倍に向上し、高頻度の問題に対する回答速度と正確性が格段に改善された。広東省恵州市(Huizhou)の12345ホットラインでは、AIが通話後に自動で要約を生成し、フォローアップを支援することで、市民の満足度を向上させている。
また、広東省汕尾市(Shanwei)では業務フローの効率が60パーセント向上し、高頻度の質問に対する自己解決率が65パーセントに達した。さらに、30パーセントの人的リソースを問題の難しい要望に振り向けることができ、交通渋滞や企業の未払い賃金といった民生問題の予測と対応が可能になった。
AIの導入により、地方公務員は「電子秘書」や「電子アシスタント」を手に入れたかのように、業務効率が大幅に向上している。例えば、江西省贛州市は公文作成アシスタントを導入し、政策解釈、文書の起草、知能チェックをサポートしており、公文処理の効率を大幅に向上させている。
では、「AI公務員」は人間の公務員を代替するのか?
深セン市福田区政務サービス・データ管理局の副局長である高増氏は、AIは単独で意思決定することはできず、時にバイアスが生じる可能性があるため、AIには必ず「監督者」が付き、仮にミスがあった場合でも責任の所在が明確になるようにしていると説明している。また、福田区の人事担当者は、AIはあくまでアシスタントに過ぎず、今後の採用枠を削減することはないと述べている。
北京社会科学院の副研究員である王鵬(Wang Peng)氏は、「深セン福田区の取り組みは、行政のスマート化転換における積極的な試みであり、大きなイノベーションと実用的な価値を持つ。今後、より多くの政府機関がAI技術を導入し、行政サービスの自動化と効率化を実現するだろう」と述べている。
DeepSeekの導入により、行政サービスは「人と機械の協力体制」を構築し、より住民のニーズに応えることが可能となっている。まさに、住民の声に迅速に応える「スマート行政」が実現しつつある。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM