中国の自動車産業がまた一つ歴史的な節目を迎えた。
中国自動車工業協会が発表したデータによれば、2025年1月から4月までの間に、中国の自動車生産台数と販売台数のいずれもが初めて1000万台を突破し、いずれも前年同期比で10%以上の成長を記録した。
注目されたのは、5月6日にテスラ(Tesla)中国が発表した声明で、Model3および新型Model Yの部品の95%以上が中国で製造されていると明らかにされた点である。
これは単なる数字の上での記録にとどまらず、中国の自動車産業が「追いかける側」から「リードする側」へと転じたことを意味している。
江蘇省南京市で開催されたモーターショー(2025年5月12日撮影、資料写真)。(c)CNS/泱波
この歴史的な飛躍を支える要因として、「技術」と「政策」の2つが挙げられる。
まず技術面では、車の在り方そのものが変わりつつある。車は単なる移動手段から、テクノロジーとライフスタイルの融合プラットフォームへと進化している。
2025年前半、新エネルギー車(EV・ハイブリッド車など)は依然として高い成長を維持しており、1〜4月の生産台数は442.9万台、販売台数は430万台といずれも前年同期比で約47%増加。新車販売に占める割合は42.7%に達した。
輸出も好調で、同期間中の自動車輸出台数は193.7万台(前年比6%増)であり、そのうち新エネルギー車は64.2万台と52.6%増となった。
特に、運転支援機能に関しては、L2(部分自動運転)レベルを搭載した乗用車の新車販売比率が57.3%に達し、10万元(約200万円)以下の車にも搭載されるようになっている。800V高電圧や高速充電対応といった新技術の普及も進み、車両性能の底上げが市場をさらに刺激している。
政策面では、「設備の大規模更新」や「古い消費財の買い替え」などを支援する「二つの刷新」政策が、自動車の買い替え需要を後押ししている。2024年には全国で650万台以上の車が買い替え・廃車された。2025年の補助金政策では、これまでの「国3」排出基準車に加え、「国4」車の買い替えにも支援が拡大された。
産業の地理的構図にも変化が見られる。たとえば、重慶市(%%Chongqing%%)は自動車産業をてこにして広州市(%%Guangzhou%%)を抜き、国内第4位の経済都市に浮上した。
2025年第1四半期には安徽省(%%Anhui%%)が自動車生産台数で広東省(%%Guangdong%%)を上回り、全国1位となった(76.17万台)。特に新エネルギー車の生産が前年比83%の伸びを記録している。奇瑞汽車(%%Chery Automobile%%)の会長・尹同躍(%%Yin Tongyue%%)氏は「今の安徽省は、中国の重要な工業・イノベーション・輸出・自動車大省となった」と述べている。
とはいえ、今回の快挙は決して順風満帆の中での達成ではない。
一方では、国際情勢の不確実性が高まっており、一部の国が導入している自動車関連の関税政策が、中国車の海外展開に影を落としている。
他方、国内市場では価格競争が過熱しており、「過剰競争」とも言える現象が見られる。これに対し、政府は制度的対応を進め、業界全体の健全な発展と競争力の強化を目指している。
今回の「生産・販売ともに1000万台超え」という成果は、技術革新と政策支援が噛み合った結果であり、中国の自動車産業が次のステージへと進んだことを物語っている。そしてそれは、世界の自動車業界にも新たな可能性とモデルを提示している。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM