熱々の熱乾麺(武漢市<Wuhan>の名物麺)の香りがまだ漂っているところに、刀削麺(山西省<Shanxi>の名物麺)の香りが目の前に漂ってきた。
このほど、湖北省(Hubei)武漢市、安徽省(Anhui)合肥市(Hefei)、江西省(Jiangxi)南昌市(Nanchang)、湖南省(Hunan)長沙市(Changsha)、山西省太原市(Taiyuan)、河南省(Henan)鄭州市(Zhengzhou)の6つの省都が共同で「中部六省省都都市交通輸送協同発展協力提案」を打ち出し、中部に国際的な総合交通ハブの集積を構築し、中国交通の「第5極」の形成を目指すことを提案した。
武漢の江漢路から太原の柳巷まで、ほぼ1000キロ離れた二都市の朝昼ごはんを、高速鉄道なら将来的に4時間以内に移動できるようになる見通しだ。
済南の長清駅から鄭州方面へ向けて出発する復興号列車(2023年12月8日撮影、資料写真)。(c)CNS/沙見竜
これは単に時間と距離が短縮されるだけでなく、人口、情報、資金といった要素が地域を超えて素早くつながることで、中部地域の競争力が再構築されつつあることを意味する。
現在、成渝地区(成都市<Chengdu>と重慶市<Chongqing>)の双都市経済圏、京津冀(北京・天津<Tianjin>・河北<Hebei>)、長江デルタ地域(上海、江蘇省<Jiangsu>、浙江省<Zhejiang>)、粤港澳大湾区(広東・香港・マカオグレーターベイエリア、Guangdong-Hong Kong-Macau Greater Bay Area)の4地域が国家の総合立体交通網の主な骨格である「四極」を形成している。
「第5極」がどこになるのかには、外部から大きな関心が集まっている。
2024年に開催された「中部地区崛起座談会」では、現代的な交通インフラの整備を強化し、中部地域における大通道の構造を強化する必要があると指摘された。
国家レベルで「第5極」が明確に定められているわけではないが、中部地域は天然の通路としての優位性を有しており、全国の地域発展戦略において重要な戦略的地位を占めている。
華東師範大学(East China Normal University)都市発展研究院の院長である曾剛(Ceng Gang)氏は、中部地域が中国交通の「第5極」を形成するうえでの利点は次のような点にあると述べている。
まず第一に、中部は「東を支え西を開き、南北を結ぶ」という極めて重要な中間地点に位置しており、利便性の高い交通ネットワークの整備により、国内外の「双循環」戦略の結節点として、また全国統一市場の構築に向けた交通の要として大きな役割を果たすことができる。
第二に、中部は長江経済ベルトや中部崛起といった国家戦略の発展機会によって、中国交通の「第5極」形成に強力な支えを得ている。
第三に、中部地域には全国の34.5%に相当する高速鉄道営業距離と、40%以上の高等級内河航路が集中しており、道路網の密度は全国平均の2.5倍、民航空港の密度は全国平均の1.4倍である。これらをベースに各都市を相互に接続し、省都が主導的な役割を果たすことが、「第5極」を構築するための鍵である。
ただし曾氏は同時に、中部地域には省を越えた協調が不十分であること、都市間交通の整備が遅れていること、国際的な接続性が弱いことという三つの課題も存在しており、各地の交通ネットワークの連結性とサービス水準を向上させることが急務だと指摘している。
現在、中部6省の省都における2035年版の都市総合計画がすでにすべて発表されており、武漢と鄭州は「国際的な総合交通ハブ都市」として位置づけられ、合肥、太原、長沙、南昌は「全国的な総合交通ハブ都市」とされている。
注目すべきは、武漢と鄭州が前回の都市計画では「国家の重要な総合交通ハブ」とされていたのに対し、今回からは「国際的総合交通ハブ都市」に格上げされた点である。
交通インフラの実力を見ても、湖北省と河南省は各地域を結ぶ重要な省であり、武漢と鄭州は中部地域の中でも交通の要所として名高い。
たとえば高速鉄道の接続状況を見ると、鄭州と武漢はほぼ互角で、他の中部省都よりもはるかに優れている。国鉄鄭州局が昨年10月に発表した情報によると、鄭州から5時間以内に到達できる都市は123にのぼる。武漢でも毎日始発の高速鉄道が約500本運行されており、全国28の省都に接続している。両都市は中国でも最も広い「高速鉄道ネットワーク」を誇っている都市といえる。
曾氏は、武漢と鄭州はそれぞれの立場にふさわしく、中国の南北を貫く物流回廊の共通構築や、江と海の複合輸送の整備、高速鉄道の乗り継ぎ効率の向上といった面で、ハブ都市としての地位を一層強化すべきだと述べた。また、合肥、太原、長沙、南昌などは、それぞれの地理的条件、産業基盤、交通の優位性を活かし、独自の交通ルートを構築することで、差別化された分業体制をつくり、同質的な競争を避けることが望ましいとした。
また、鉄道整備に限らず、航空や水運といった分野でも、中部6省都は「第15次五か年計画(十五五)」の策定を契機に、計画の連携を深め、中部に国際的な総合交通ハブの集積を築こうとしている。
曾氏は、交通ネットワークが「物理的な接続」から「化学的な融合」へと進化してこそ、中部地域のハブとしての潜在力が真に発揮され、国家発展を支える重要な支点になれると語った。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM