関税戦、貿易戦争などの衝撃に直面しながらも、4月の中国経済は圧力に耐え、安定した成長を遂げた。
世界中が問いかけている──なぜ中国経済はこのように複雑な環境の中で着実に前進できるのか。
その背後には、中国経済の強靭な回復力と衝撃に耐える力があり、中国が恐れず立ち向かう底力を示している。
粤開証券のチーフエコノミスト、羅志恒(Luo Zhiheng)氏は中国新聞社(CNS)の「三里河中国経済観察」に対し、4月は外的な衝撃に直面したものの、中国経済はそれに果敢に立ち向かい、特に供給面では工業・サービス業の生産が依然として力強く、需要面では輸出が予想を上回ったと語った。
■回復力の源は「新たな原動力」にある
新たな質の生産力の急速な発展が、中国経済にとって重要な支えとなっている。
いくつかの新製品の生産量が大きく増加したことがその証である。4月の3Dプリンタ機器、産業用ロボット、新エネルギー車の生産量は、前年同月比でそれぞれ60.7%、51.5%、38.9%の増加となった。
特に新エネルギー車の成長は目覚ましい。今年1~4月の自動車生産・販売台数は、中国自動車産業史上初めていずれも1000万台を突破し、新エネルギー車の生産・販売台数はそれぞれ442.9万台と430万台に達した。
第20回中国西部国際博覧会が成都で開幕し、会場内を歩く人型ロボット(2025年5月25日撮影、資料写真)。(c)CNS/安源
イノベーションへの支援も拡大を続けており、ハイテク産業は比較的速い成長を示している。4月の一定規模以上のハイテク製造業の付加価値は、前年同月比10%増で、全体の製造業の3.9ポイント上回る伸びとなった。
新たな質の生産力は、成長の論理そのものを塗り替えつつある。その根底には、中国が完全な産業イノベーションのエコシステムを築いてきたという背景がある。羅氏は、新質の生産力が着実に発展し、産業用ロボットや新エネルギー関連の生産、高度技術への投資が高い成長率を維持していることが、内外の変化に対応する新たな原動力となっていると語った。
■回復力の源は「新たな空間」にある
高関税が中国の対外貿易に深刻な影響を与えるとの見方があった中で、4月の貿易実績は予想を上回る結果となった。
1~4月の中国の貨物貿易の総額は前年同期比2.4%増で、第1四半期と比べ1.1ポイント加速している。
高関税の衝撃に対し、中国経済は「西がだめでも東がある」というような戦略的柔軟性を示し、対外貿易の多元化を強化し、「一帯一路(Belt and Road)」構想の参加国との貿易を積極的に拡大することで、輸出入の安定成長を維持している。
1~4月の「一帯一路」関連国との貿易は、前年同期比で3.9%増加し、第1四半期と比べ1.7ポイント上昇した。
対外貿易が圧力に耐えて成長を続けていることは、産業基盤の強さ、貿易構造の柔軟な調整能力、そして外貿安定化政策の有効性を反映している。
羅志恒氏は、中国の輸出製品が持つ強い競争力と「輸出前倒し」の動きが、輸出と生産の高成長を支えていると分析している。対米関税問題は一時的にやや緩和したが、今後も不確実性は大きく、前もって備えを講じ、逆周期的な調整を強化し、企業や業界、特定の人々への支援を継続する必要があると指摘している。
■回復力の源は「新たな活力」にある
マクロ政策の支援は、経済安定の要となっている。より積極的で有効なマクロ政策が強化され、市場の新たな活力を引き出している。
大規模な設備更新の促進により、1~4月の設備購入への投資は前年同期比で18.2%増となり、全体の投資成長への寄与度は64.5%に達した。
また、消費財の買い替え政策の支援により、1~4月の社会消費品小売総額は前年同期比4.7%増で、第1四半期と比べて0.1ポイント加速している。
中でも、一定規模以上の事業体による家電・映像音響機器、文化・事務用品、家具、通信機器の小売売上は、それぞれ38.8%、33.5%、26.9%、19.9%の伸びを示した。
こうした数字の背後には、超長期特別国債という政策的推進力がある。市場が外的な衝撃にさらされたとき、中国の政策ツールは「小さな力で大きな効果を生む」ような巧みさを見せた。この政策効果の発揮は、中央政府による全体調整の戦略的安定感と、地方政府による状況に応じたイノベーションの活力が相乗効果を生んだ結果である。
世界第2の経済大国である中国は、製造業の規模で15年連続世界一、消費市場の規模でも世界有数の地位を維持している。経済基盤の強さ、発展の成果、制度の優位性、政策の後ろ盾、市場の活力によって、中国はあらゆるリスクや試練に十分に対応できる条件と能力、そして自信を備えている。
3Dプリンタが未来の産業の形を「印刷」し、ロボットがスマート製造のリズムを刻み、新エネルギー車がカーボンニュートラルというブルーオーシャンに向かって走り出すとき、中国経済は今後も風に動じることなく、安定して力強く前進し続けていく。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM