書の香りが酒の香りに 中国のバーで始まったユニークなイベント
时间:1751520292000 来源:CNSニュース

中国の詩の世界では、本と酒は古くから密接な関係を築いてきた。たとえば李白(Li Bai)の「斗酒詩百篇」や蘇軾(Su Shi)の「把酒問青天」に見られるように、詩文はしばしば酒の勢いで高められ、一方で、酒は読書の場にも溶け込み、知識を伝えるための感情的な媒介にもなっている。


近年、北京市、上海市、広東省(Guangdong)広州市(Guangzhou)、四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)などでは、本と酒を巧みに組み合わせた「本と引き換えに酒をふるまう(以書換酒)」イベントが各地で開催されている。


北京の「杳」ブランドが、5年間の「本と引き換えに酒をふるまう」イベントで集めた書籍を活用して開設した杳無書店』」の店内(2025年6月6日撮影、資料写真)。(c)CNS/劉遠


北京にある「杳(よう)」というバーの運営者・張晶(Zhang Jing)氏は、「読書は世界を理解する価値観を育み、アルコールは世界を体験する幅を広げてくれる」と語り、この活動を始めた動機を明かした。「杳」はこのイベントをすでに5年続けており、同様の店の中でも草分け的存在だ。


そもそものきっかけは、シンプルな商業的理由――集客のためだったという。「最初の店舗の改装が終わった頃、来店者数が思ったより少なく、店内に設置した3つの高さ2メートル、幅60センチの空っぽの本棚をどうするか悩んでいた。ちょうどその頃、近所のカフェが母の日に『花とコーヒーを交換』するイベントを開催して話題になっていたのをヒントに、余って捨てられがちな花よりも、本のほうが交換物として適していると考えた」と振り返る。


「杳」があるエリアには阿里巴巴集団(アリババグループ、Alibaba Group)や美団(Meituan)といったIT企業のオフィスが集まり、高学歴層が多く在住していることから、彼らが持つ蔵書の量も多く、「文化消費」に対する関心も高い。イベントを始めるとすぐに評判を呼び、新品のまま包装も解かれていない本を交換に持ち込む客まで現れたという。中には「会社の役員が出版した本を持ってきた人もいて、その本をきっかけに異なる部署の同僚が知り合うきっかけになった」と張氏は語る。


では、どんな本なら酒と交換できるのか?何度も交換できるのか?交換できる酒はどれか? SNSにはこうした質問が多く寄せられている。これに対して張氏は、「最初は、①価格が25元(約500円)以上であること、②児童書・辞書・参考書でないこと、という2点の条件を設けていたが、今では価格制限は撤廃している。たとえ事情を知らずに規定外の本を持ってきた場合も、好意で受け取っている」と答えた。


「杳」では、価格98〜109元(約1963〜2183円)のオリジナルカクテルのどれでも、適した古本1冊で交換できる。過剰な再利用(リピート交換)を防ぐため、中国最大の口コミサイト「大衆点評(Dazhong Dianping)」アプリ内で1元(約20円)の引換券を1人1回限りで販売し、それを持参した人にだけ交換を認めている。ただし、家族や友人の名義で複数枚購入する人もおり、「そうした場合も、私たちは歓迎しています」と張氏は笑う。


今年3月に北京・北鑼鼓巷でオープンしたばかりのバー「小号地段」も小規模ながら本と酒を交換できるスペースを設けており、独自の個性を打ち出している。


「小号地段」では読書好きな客を歓迎しており、特に詩を愛する客を好んでいる。一般の本を持ち込めば限定酒がもらえ、詩集を持参すれば好みの酒と引き換え可能。いずれも価格は70〜80元(約1400~1600円)だ。また、来店時の読書時間によって酒代が割引される「読書で酒代割引」サービスも実施しており、1時間で5元(約100円)、最大15元(約300円)の割引が受けられる。


「こうした取り組みを通じて、詩や本を愛する人たちが集う『文芸拠点』をつくりたかった」と話すのは、オーナーの張怡雯氏と于詩雨氏。彼らにとって、「以書換酒」で利益が出るかどうかは重要ではない。


「そのとき私が本を取り出すと、隣の人が『それ、私も持ってますよ!』と声をかけてくれたんです」。北京で働く李奕(Li Yi、仮名)さんは、店の文化的な雰囲気に魅かれた一人で、「仕事帰りに、本棚の片隅で酒を片手に読書する時間がとても心地いい」と語る。「ときどき開催される読書会に『酒持参』で参加するのも最高。自由でリラックスした時間が過ごせるんです」と笑顔を見せた。(c)CNS/JCM

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