【三里河中国経済観察】中国発トレンド玩具、文化輸出の新潮流に
时间:1751857552223 来源:CNSニュース

世界中で、中国発のトイブランドが熱い注目を集めている。


最近ではロサンゼルスやロンドン、ミラノ、東京といった大都市のポップマート(Pop Mart)店舗前に長蛇の列ができ、なかには「フィギュア争奪戦」が繰り広げられる店舗もある。


「わずか60メートルの路地を3時間も並びました。ここまで長く感じた路地は初めてです」——アムステルダムで「LABUBU(ラブブ)」を購入したファンは、まるで「信仰心」を試される体験だったとSNSに投稿している。


この「ブサかわ」なトレンドトイは、今や世界中のセレブたちがSNSで披露する人気アイテムとなり、ポップマートの株価も急上昇。時価総額は3000億香港ドル(約5兆5216円)を突破し、創業者の王寧(Wang Ning)氏は河南省(Henan)のトップ富豪となった。


米金融大手JPモルガン・チェース(%PMorgan Chase)は、ラブブを「次なるハローキティ(Hello Kitty)」と位置づけている。ハローキティは、日本のサンリオ(Sanrio)が生み出した世界的なキャラクターIP(知的財産権)で、世界中で熱狂的に支持され、歴代でも屈指の成功を収めたライセンスブランドのひとつである。ラブブがこれに並ぶとされる背景には、新たな世代の「スーパーIP」として急成長している現実がある。これはまた、中国発の文化が世界に受け入れられていく新しいパターンを示している。


中国発のトイメーカー「ポップマート」で展開しているキャラクターの「ラブブ」(2025年6月14日撮影、資料写真)。(c)CNS/富田


■感情に寄り添う「新しい文化輸出」


かつて中国のカルチャー輸出といえば、東洋的モチーフを詰め込んだり、壮大な物語を借用したりする手法が主流だった。だが、ラブブの人気は、ローカライズされた企画力によって文化の壁を越え、世界共通の可愛さや感情に訴えかける新しいスタイルを確立している。


たとえば、シンガポールのマーライオンバージョン、タイの伝統衣装をまとったバージョン、スペインの闘牛士をモチーフにしたバージョンなど、地域ごとの美的感覚に合わせたデザイン展開がされており、ラブブを通して「現地文化との共鳴」が自然に生まれている。実際に、ラブブはタイ政府から「アメージング・タイランド体験大使」にも任命された。


シンガポールのブランドコンサル会社iMpactの創業者でCEOのクリス・ペレイラ(Chris Pereira)氏は、「これまで中国企業は伝統文化を伝えようと努力してきたが、ラブブは中国文化を説明しようとしているのではなく、好きになってもらうことに集中している」と語る。


この姿勢は、Z世代の「感情価値」重視の消費傾向とも一致している。物が溢れる時代において、若者は「所有すること」よりも「感情を動かしてくれるもの」を選び、推し活やコレクションなど、グッズを通じた感情表現に価値を見出している。ラブブはそうした感情の受け皿となり、街で持ち歩かれるたびに「歩くカルチャーアイコン」としての存在感を増している。


■中国製造から「中国発想」へ


かつて中国は、ディズニー(Disney)やマーベル(Marvel)、ガンダム(Gundam)などの海外ブランドの「製造工場」であり、玩具の生産地だった。しかしラブブの成功は、中国が単なる「つくる国」から「生み出す国」へと変貌を遂げつつあることを象徴している。


こうした「創造性による価値の飛躍」は、トレンドトイ市場で高い付加価値を生み出すだけでなく、中国ブランドがグローバル市場のトレンドを牽引する力にもなっている。


■広がる「中国発」コンテンツの成功例


ラブブの成功にとどまらず、近年は「中国発」の創作物が各分野で世界の注目を集めている。


たとえばアニメ映画『哪吒之魔童鬧海(英題:Ne Zha2)』は、世界の映画興行収入ランキングでトップ5に食い込み、アジア映画の新たな金字塔を打ち立てた。AI分野では、中国企業の「深度求索(DeepSeek)」が国際的な話題をさらい、技術革新の先頭に立っている。また、スマホゲーム「恋与深空(恋と深空)」は多くの国で売上ランキング上位に入り、中国のモバイルゲーム産業が国際市場で新たな突破口を見出した。


現在、中国政府は文化的ソフトパワーの強化に力を注いでおり、IP戦略をその中核に据えている。商務部は、IPに関するデザインや新製品発表のためのプラットフォームづくり、IP消費のランドマーク化、そして体験型消費空間の拡充などを掲げている。


■IP産業の新時代へ


かつての「ひとつのキャラクターを世界に広める」という単一的な取り組みから、現在では「IPのエコシステム構築」という大きなビジョンへと発展している中国のIP産業。その潜在力はますます大きくなっている。


ラブブのグローバルヒットは、中国の強みである製造力と創造力を融合させた成果だ。世界中の消費者の感性を的確にとらえれば、プロダクトそのものが自然に支持される。この成功モデルは、他の中国IPにも応用できるだろう。


中国IPがグローバル文化の高みを目指して加速する中で、東洋版ディズニーとも言える存在が現れる日も、そう遠くないかもしれない。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM

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