大国を統治するうえで、まず重視されるのが国家計画だ。
中国では1953年に始まった第1次五か年計画が工業化の基盤を築き、その後の発展を方向づけてきた。現在は第14次五か年計画(2021〜2025年)のもとで質の高い発展が進められており、次の第15次五カ年計画(2026〜2030年)の策定も本格化している。新中国の歩みは、五か年計画によって刻まれてきた発展の歴史とも言える。計画ごとに示された目標と政策は、中国が「立ち上がり、豊かになり、さらに強くなる」過程の重要な節目を示してきた。
今年の全国両会では、第14期全国人民代表大会第4回会議で「中華人民共和国国家発展計画法」が可決された。この法律の成立は、国家計画制度を法治の枠組みに組み込む重要な動きと位置づけられている。
第14期全国人民代表大会第4回会議。「中華人民共和国国家発展計画法」が可決された=2026年3月12日撮影(c)CNS/韓海丹
この法律にはどのような意味があるのか。また、どのようなメッセージが込められているのか。
海外では、中国の強みの一つとして、長期的な国家計画を策定し、それを継続的に実行していく能力が挙げられることが多い。計画に基づいて国家戦略を進めることができる背景には、大規模な政策を集中的に推進できる制度と、長期的な視点で政策を継続する体制があると指摘されている。
今回の法律は、そうした国家計画制度を正式に法律として位置づけたものでもある。清華大学(Tsinghua University)中国発展計画研究院の董煜(Dong Yu)常務副院長は取材に対し、発展計画の法制化は突然生まれたものではなく、20年以上にわたり制度整備が積み重ねられてきた結果だと説明する。計画制度の改善が進む中で、法制度の整備も同時に進められてきたという。
董氏によると、中国では近年、国家統治体系と統治能力の近代化が重要な課題として位置づけられ、さまざまな制度改革が進められてきた。その中で、国家発展計画の体系も整備が進み、統一的な計画制度が形成されてきた。制度が成熟すれば、それを法律として固定する必要がある。国家発展計画を法律として定めたことは、国家統治の中での計画制度の重要性を改めて確認し、法的な保障を与える意味を持つ。
中国は現在、社会主義現代化の実現に向けた基盤を整える重要な段階にある。2026年は第15次五か年計画の初年度に当たる。こうしたタイミングで国家発展計画法が成立したことは、象徴的な意味を持つと董氏は指摘する。
董氏は「この時期に法律を制定したことは、中国が現代化を進めるうえで、単に計画を示すだけでなく、その実施を法治の枠組みの中で進めていく姿勢を示すものだ」と述べた。今後は五か年計画の策定、実施、評価、調整の各段階が法律に基づいて進められることになる。
また、この法律では、国家のトップレベルの設計と市民の意見反映を組み合わせることも重視されている。計画策定の過程で広く意見を募り、多様な声を反映させることが明記された。例えば、2025年5月から6月にかけて行われた第15次五カ年計画策定に向けたオンライン意見募集では、経済、社会、科学技術などさまざまな分野について、延べ311万件以上の意見が寄せられた。
董氏は「社会の関心が高まり、参加が活発になるほど、それらの声を計画策定に反映させる仕組みが必要になる」と述べる。もっとも、国家計画の課題は青写真を描くことではなく、その実行にある。これまで中国では、計画を作ることに重点が置かれ、実施が十分でないという問題が指摘されてきた。計画が形だけに終わらないようにすることが課題とされてきたのである。
国家発展計画法では、この点にも対応する形で、全国人民代表大会およびその常務委員会が計画の実施状況を監督することが明確にされた。また、計画の中間評価と最終評価の制度も導入された。董氏は、これによって五カ年計画の進行状況がより明確になり、計画の透明性や予見可能性が高まると指摘する。計画の策定機関、審査機関、そして社会全体が、計画の進行状況を把握できる仕組みが整うことになるという。さらに、全国人民代表大会が計画を審査する際の手続きや基準も法律によって明確化された。これにより、計画の内容はより厳格な審査に耐えられるものが求められるようになる。
国家発展計画法は、政府が計画を策定する枠組みを定めると同時に、市民の参加の仕組みを保障し、国家戦略の継続性を制度として確立するものと位置づけられている。第15次五か年計画に向けて、中国はより制度化された形で国家計画を進め、現代化の次の段階へと歩みを進めようとしている。