輝き取り戻す「江南の真珠」 中国・太湖の水質改善進む
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中国で3番目に大きい淡水湖、太湖(Tai Lake)の水質改善が進んでいる。工業廃水などで環境が悪化し、周辺住民数百万人の飲料水に影響が出た時期もあったが、地道な対策を続けた成果が出ている。

中国東部の浙江省(Zhejiang)と江蘇省(Jiangsu)にまたがる太湖は、面積は日本の琵琶湖の3倍にあたる2250平方キロ。古くから風光明媚(めいび)な湖として知られている。

自然環境の改善が進んでいる太湖(2023年5月17日撮影)。((c)CNS/泱波)

しかし、2000年代に入ると水質汚染が深刻となった。中国で急激な経済成長が続き、大量の生活用水や産業・農業排水が流入。有害化学物質や窒素・リンが蓄積され、2007年5月には藻が異常発生した。230万人が住む近隣の無錫市(Wuxi)で「水道から汚水が出てくる」と苦情が出て、上水供給を一時遮断した。数日間におよぶ断水により、市民は飲み水を蓄えようとパニックになった。豊かな水をたたえ「江南の真珠」と呼ばれた景勝地は、中国全土の河川環境の悪化を示す象徴となった。

このため中国政府は太湖の環境改善に本腰を入れた。その一つとして、藻をエサとするコイ科のハクレンなどの魚を放流。2009年1月には1000万匹、2010年2月には2000万匹を投入する大規模なものだった。ハクレンは藻やプランクトンを50キロ食べても体重は1キロしか増えないという。

また、湖底の汚泥をすくい出す浚渫(しゅんせつ)作業を継続して実施。汚泥は無害化処理し、土木、道路、造園、緑化工事に活用しており、「変廃為宝(ごみを宝に変える)」効果も生んでいる。環境に悪影響を与える約8500の企業・工場の閉鎖・移転、漁業の規制、田畑耕作の制限といった排水源を断ち切る対策も実行した。

さらにハイテクを活用し、宇宙から人工衛星の監視、ドローンによる低空度パトロール、湖面を無人船が観測と、水質の状況を精密かつ的確に把握した。

約15年にわたる格闘の末、太湖の水質は2022年上半期に国家3級基準を取り戻し、すべての水質指標は2007年以降で最高レベルに達した。太湖に生息する水鳥の種類と数は増え続けている。

太湖近くに住む住民は「以前は昼も夜も漁船のエンジン音がけたたましく鳴り響いていたが、今は風にそよぐ木の葉のこすれる音、鳥のさえずりが聞こえるようになりました」と笑顔を浮かべる。

太湖流域の主要都市の地域総生産(GDP)は、2007年から2020年にかけて3倍となった。経済成長は今後も続く。環境対策に終わりはなく、これからも関係者の努力が求められる。(c)東方新報/AFPBB News

※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。

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