ノーベル経済学賞のゴールディン教授は、日本の男女収入格差を救えるか
时间:1697435346710 来源:東方新報

今年のノーベル経済学賞(Nobel Prize in Economics)を受賞した米国のクラウディア・ゴールディン(Claudia Goldin)教授は、思いがけずに日本で話題の的となった。

彼女は、データを用いて全世界の男女所得格差の現状を明らかにし、先進国でさえ格差が埋まらない理由を検証することに力を注いでいる。

ノーベル賞受賞以来、彼女は公の場で頻繁に日本の労働市場に言及し「日本の女性が職場に入るだけでは問題は解決しない」と率直に語っている。これには「アメリカの論理で東南アジア社会を冒涜するものだ」という声も一部にはあるが、「この指摘は日本企業に啓示を与えることができる」という声の方が多い。

日本経済新聞(Nikkei)によると、10月9日メディアとの面談で、ゴールディン氏はまず始めに、日本の女性の就業率が過去10-15年で大幅に上昇したことを評価した。現在の世界の25歳から54歳までの女性の就業率の中で、日本は83%で、米国の78%よりも高かったことは彼女を驚かせはしたが、しかし同時に「日本の女性は労働市場全体の中で、短期的で簡単な仕事に就いているだけだ」とも指摘している。日本の女性たちの働き方は、その多くが兼業で、接客業務が多いと見ている。


東京都渋谷スクランブル交差点(2020年12月17日撮影、資料写真)。(c)CNS/呂少威


朝日新聞(Asahi Shimbun)の記事では、ゴールディン氏は日本が「世界一寛容な男性育児休暇制度」を持つこと、中・高級所得国41か国の中で1位であることを賞賛しつつも、同時に「サラリーマンは自身の仕事のキャリアに影響することを恐れて育児休暇を取りたがらない傾向があり、せっかくの日本の手厚い育児休暇の実際の取得率は14%にも達しておらず、世界の中でも低い方だ」と指摘したことが紹介されている。彼女は、日本の出産率の低下は、家庭の内部問題にとどまらず、職場環境が社会のニーズの変化に追い付いていないという問題なのだと言っている。

毎日新聞(Mainichi Shimbun)の記事では、ゴールディン氏は「日本の少子化問題は短期的には改善が難しい」と見ているという。その理由は「働く母親への懲罰」、すなわち子育てとの両立への様々な障害や不利益を社会全体が理解し、社会の主導的な地位の人たちの考え方を変える必要があるからだという。彼女は、ずっと激烈な変化の中にあるアメリカ社会と比べ、日本社会は構造的な変化をあまり経験しておらず、それに対する準備も整っていないと示唆する。

実は、ゴールディン氏の日本の職業女性に対する観察は、目新しいものではない。

日本の社会学者上野千鶴子(Chizuko Ueno)は著書 『女たちのサバイバル作戦』の中で「労働と雇用は今の時代の女性が直面する最も深刻な問題だ」と指摘している。上野氏は、日本の女性の生活環境は過去40年間で「変わったとも言えるが、変わらなかったとも言える」と思っている。

ただ、ゴールディン氏の批評が今の日本の「痛い所」をついたものであることは疑いのない事実で、政府や企業にこれまで注意を払ってこなかった盲点を思い起こさせる指摘だったことを評価する。

現在、経済協力開発機構(OECD)に加盟する38か国の男女間の平均給与格差は11.9%だが、日本は21.3%で、加盟国中の下位から数えて4番目だ。先進国首脳会議(%%G7%%)加盟国では最下位だ。

また、終生子どもを持たない日本の女性の割合は27%で、先進国の中で最高比率となっている。

日本のオンラインニュースサイト「ニューズピックス(NewsPicks)」の情報によると、多くの優秀な日本の女性が彼女たちの仕事や起業経験の情報共有を行っている。

AI利用技術の「株式会社クラフター(Crafter)」の小島舞子(Maiko Kojima)社長は「自分の周囲にいる30-40歳くらいの管理職の既婚女性は、男性と同じ給与レベルだが、家事の分担は女性の方が多い」と指摘する。小島氏は、これら既婚女性たちは日本の男性に対し「育児には家族皆が時間を費やす必要があり、それを託児所に任せようとしても、全ての問題が解決できるわけではない」という基本認識を持ってもらいたいと思っていると強調する。

日本経済新聞の石塚由紀夫(Yukio Ishizuka)編集委員は、ゴールディン氏の発言を通して一つの奇妙な事実に気が付いたという。それは日本の女性の就業率は米国より高いのに、4年制大学以上の学歴の女性の就業率はOECDのメンバー国の平均よりも4ポイント低いことだ。

同じく日本経済新聞の辻本浩子(Hiroko Tsujimoto)編集委員は「日本の女性の就業率は高くても管理職の比率が低いことは、以前からたびたび報告されていた。日本の労働市場には優秀な女性に対する普遍的な軽視があり、貴重な労働力が無駄に浪費されている」と説明する。

慶應大学(Keio University)の坂井豊貴(Toyotaka Sakai)教授は日本放送協会(NHK)に対し「日本企業には依然として『長時間働くことが会社に対する誠意の表れだ』という一種の文化が残っている。ゴールディン氏の研究は日本企業に対して『こういう文化は雇用の柔軟性に逆行し、気付かないうちに男女間の賃金格差を悪化させている』ということに注意を喚起するものとなった」と論評している。

インターネットメディアやゲーム事業を展開する上場企業「サイバーエージェント(Cyberagent)」の石田裕子(Yuko Ishida)専務執行役員は「ゴールディン氏が提唱する柔軟性とは、就業時間の長短だけでなく、労働形態の選択の多様化、従業員の業務決済範囲の拡大、危機管理能力が整備された職場環境なども含むものと理解すべきだ」と指摘する。

近年、日本政府の「職場の女性の境遇」への関心度は、中・大型企業に対する男女従業員給与格差公開の要求、男性の育児休暇の期間拡大などを含め、確かに進歩した。

しかし、企業が自社の状況に合わせて具体的な対策を立てずに、ただ政府が求める「男女平等」の指標を消化しようとするだけなら、その進歩や平等は決して長続きはしないのだ。

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