中国日本商会は10月12日、北京市で中国全土の日本企業を対象とした「会員企業景気・事業環境認識アンケート」の結果を発表した。調査結果によると、今年の投資額について「前年同額」と回答した在中国日本企業が4割を占めた。また、在中国日本企業の多くが事業環境に満足していることが分かった。
日中経済協会北京事務所長で、中国日本商会企画委員長の宮下正己(Masami Miyashita)氏は同日の記者会見で、今回のアンケート調査の目的は、日本企業の中国での経営状況および事業環境に対する認識を把握することだと紹介した。実施対象は在中国日本企業の約8300社で、9月8日から9月22日までの間に1410件の有効回答を得た。
中国日本商会が10月12日に北京で発表した「会員企業景気・事業環境認識アンケート」の調査結果データをメディアに説明する、日中経済協会北京事務所長、中国日本商会企画委員長の宮下正己氏(左から2人目)(2023年10月12日撮影)。((c)東方新報)
在中国日本企業が9月に提供したデータによると、前期に比べて全体の経営状況は悪化している。売上高が減少した企業は5割以上で、特に華中、華南の地域において厳しい。同様に、利益の変動もこの傾向を反映している。
在中国日本企業の今年の投資額について、「前年同額」の回答は約4割、「今年は投資をしない」や「前年より投資額を減らす」の回答は約5割となっている。その中には水産企業が多く含まれており、日本政府による原発処理水の海洋放出の開始が、日本の水産品や化粧品の海外販売に影響を与えている。
それでも宮下氏は、景況認識が厳しい中でも、中国でビジネスを継続しようとする在中国日本企業は多いと述べている。
事業環境の満足度については、「非常に満足」および「満足」の回答数が「改善してほしい」および「非常に改善してほしい」よりもわずかに多く、満足している企業が5割以上を占めている。これらの企業は、中国政府の財政支援や電気料金の引き下げなどの措置に対して満足感を示している。
特筆すべきは、中国の現地企業と「同等に扱われている」の回答が約7割で、その大部分は製造業企業だということだ。
また、在中国日本企業の事業経営における課題については、「人件費の上昇」と「国際情勢の影響」を挙げた回答が多かった。
宮下氏によれば、過去には日本企業が中国に進出する際、低い人件費が大きな魅力だったが、その時代はすでに終わったという。
このアンケート調査について、宮下氏は「これは一次調査結果であり、今年中には第二次調査を行い、新たなデータと組み合わせて比較することで、より正確な結論を得られると考えている」と述べた。また、今後このようなアンケート調査を長期化・制度化していく計画だと語った。(c)東方新報/AFPBB News
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