中国で近年、アルバイトとして働く人が増えており、その数は今や2億5000万人に達するという。
このバイトパワーを効率的に活用しようと、中国の各地では、労働力を必要とする企業側と仕事を求めるフリーターのマッチングをする場をつくる取り組みが進められている。働き手の取引市場、いわば「バイトマーケット」だ。
上海市では初のバイトマーケットが今年6月、閔行区の瑞麗路に開設された。
「私たち2人の収入は、田舎にいた頃に比べれば倍以上になりました。バイトによって、上海で生活を始めた際の過渡期を無事に過ごすことができました」
江西瑞昌市の「バイトマーケット」(提供写真)。(c)CNS
そう話すのは45歳の徐(Xu)さん。今年7月、夫とともに田舎から上海に出て来て新生活を始めた。息子が高校3年生になり、もっとお金が必要だと考えたからだ。とはいえ、当初は慣れない土地で仕事を見つけられるかどうか不安だった。しかし、散歩の途中で瑞麗路のバイトマーケットで開かれていたバイト募集の説明会で、運良く夫婦2人とも仕事が見つかった。
徐さんが就いたのは食品工場の包装の仕事。日当は230元(約4787円)くらい。夫は別の会社で日当300元(約6244円)の運搬員の仕事を得た。
おかげで上海に借りた部屋の月800元(約1万6652円)の家賃も心配はいらない。経済的に少し余裕ができ、夫はしばらくバイトを続けながら新たな就職口を探し、最終的に別の会社で正社員として採用された。月給は6000元(約12万4893円)から8000元(約16万6524円)にのぼる。徐さんも、チャンスがあれば楽で良い仕事に転職しようと考えている。徐さん夫婦にとっては、アルバイトは新生活を安定させるまでの「つなぎ」だったと言えそうだ。
人にとがアルバイトという労働形態を望む理由や背景はさまざまだが、今年、大学を卒業したばかりの沈(Shen)さんにとっては、振り返ってみればバイトが研修として役立ったような形になった。
沈さんは、大学でカメラを専門的に勉強した。だが、他の業種に就職することも考えるなど、将来の方向性を見つけられないでいた中で、撮影機材の販売などを行う会社が募集していた撮影のアルバイトを見つけた。報酬は歩合制だ。
会社の側にはバイトカメラマンを抱えるメリットは大きい。「時には1泊2日で地方の出張し撮影することもあれば、複数の仕事が重なることもあります。アルバイトのカメラマンをお願いすれば、コストを削減しながらも必要な業務は全うできる」からだ。
沈さんの仕事ぶりは会社に気に入られたようで、その後も何度か撮影に呼ばれ出張なども任された。そんな折に1人の正規採用のカメラマンが退職することになり、その後任として沈さんに声がかかった。沈さんは会社と1年契約を結ぶことができたという。
「僕はとてもラッキーだったと思います。バイトを通じて短期間で自分の就職先が見つかりましたから」
沈さんがカメラマンのバイトを見つけたのは、上海市黄浦区が作成したIT関連企業などの「新経済・新業態」分野でのアルバイトをマッチングさせるサイトだった。バイトマーケットの試みは、まずまずの結果を生んでいると言えそうだ。
価値観や生活スタイルが多様化するにつれ、今後もアルバイト人口は増えていく傾向にある。そうした中で、雇用関係の曖昧さや法的保護の適用範囲の不明確さなど、早急に解決すべき点がまだ多く残されている。