出生率の低下は東アジアの国と地域が抱える共通問題だが、中でも香港の出生率の低下が目立つ。
香港特別行政区の李家超(Li Jiachao)行政長官は新施政報告で、2022年の香港の夫婦1組当たりの子どもの人数が過去最低の0.9人になったこと、また65歳以上老齢人口が10年以内に現在の2割から全人口の3分の一近くに増加するという予測を発表した。
同時に、李長官は香港の出生率向上のための一連の「合わせ技(総合政策)」を発表した。その一つが「新生児への現金給付」だ。10月25日以降香港で生まれ、両親のどちらかが香港永住権者である新生児に対し2万香港ドル(約38万7510円)の現金給付を行うとした。
香港で開催されたFIA世界ラリークロス選手権のレーシングピットでタイヤのスペアで遊ぶ子供たち(2023年11月12日撮影、資料写真)。(c)CNS/侯宇
もう一つは、住宅関連の税額控除の最高額の引き上げだ。10月25日以降に最初に生まれた子どもと同居する親に対し「住宅ローン利息控除」または「住宅賃貸税額控除」の最高限度額10万香港ドル(約193万7550円)を20%引き上げ12万香港ドル(約231万4800円)とし、それは子どもが18歳になるまで継続するとした。
住宅政策では、香港房屋委員会(住宅委員会)による新生児家庭への「補助金付き販売住宅」抽選での優遇や公営住宅の優先配分も実施される。
このほか、就労家庭の育児支援強化政策として、就労家庭への手当の増額、幼児向け施設の収容枠の拡大と助成金の増額、就学前児童への託児サービスの拡充、居住区ベビーシッターサービスの強化などの方針が示された。
李長官は「子どもを育てるということは、子どもの教育や夫婦の関係などを含めて、夫婦にとって新しい課題や挑戦を伴うものだ」として、24年下期から5年間、現行の関連計画を統合して新しい「家庭教育推進計画」を開始する。毎年の助成金も800万香港ドル(約1億5500万円)に増額し、香港市民の民間の家庭教育プロジェクトを支援するとしている。