春節(旧正月、Lunar New Year)が始まり、ゲーム業界ではプレイヤーを引きつけるための激しい競争が繰り広げられている。1月23日、騰訊(テンセント、Tencent%%)や網易(NetEase)、上海米哈遊網絡科技(miHoYo)などの大手ゲーム会社が、20以上のスマホゲームで春節向けのアップデートを実施し、期間限定のイベントやキャンペーンを発表した。新キャラクターの登場やスキンの追加、ストーリーの更新、課金特典やセールなど、各社はあらゆる手段を駆使してプレイヤーの関心を集めようとしている。
春節は、中国において1年の中で最も重要な祝祭であり、多くの人が長期休暇を取る。家で過ごす時間が増えることから、ゲーム業界にとっても大きなチャンスとなる。ゲーム会社はこの時期にユーザーの定着を図るため、特別なイベントを開催し、売上や人気の向上を目指している。例えば、網易の「大話西遊」や「IdentityV第五人格」「陰陽師」は春節バージョンを公開し、新しいスキンや特別イベントを導入した。テンセントの人気オンラインゲーム「王者栄耀(Honor of Kings)」では、春節期間限定のスキンが販売され、600種類以上のスキンが割引対象となっている。miHoYoの「原神(Genshin Impact)」は、中国の伝統文化を反映した「海灯祭」イベントを実施し、限定キャラクターが復刻されるなど、例年通りの大型アップデートが行われた。
ゲーム市場では、春節シーズンの売上が業界全体に与える影響が大きい。市場調査会社Sensor Towerのデータによると、2024年の春節シーズンに「王者栄耀」が春節限定スキンを販売したことで、その月の売上が急上昇し、2月の収益は前月比6パーセント増加した。同様に、miHoYoの「崩壊:スターレイル(Honkai:Star Rail)」も春節アップデートで新キャラクター「ブラックスワン」を追加した結果、3日連続でアイフォーン(iPhone)のゲーム売上ランキングのトップ5に入った。専門家によると、春節はゲーム会社にとって重要な収益機会であり、この時期に成功すれば年間の業績にも大きく貢献する。
近年、ゲーム業界では短期的な売上だけでなく、長期的なプレイヤーの定着にも注力している。そのため、各社は短期間のイベントだけでなく、ゲームのエコシステム全体を強化する取り組みを進めている。その一環として、ショート動画プラットフォームを活用した宣伝が増えており、ゲームプレイ動画やライブ配信を通じて、新規ユーザーを獲得する戦略が採用されている。例えば、テンセントの「王者栄耀」は昨年から抖音(Douyin)と連携し、ゲーム関連コンテンツを強化した結果、1000以上のトレンドワードを生み出した。網易の「蛋仔派対(Eggy Party)」は、抖音のクラウドゲーム機能を利用し、ワンタップでゲームを試せる仕組みを導入。
北京市でオープンした中国初の国産3Aゲーム「黒神話:悟空」と名創優品のコラボレーションによるテーマストア(2025年1月15日撮影、資料写真)。(c)CNS/易海菲
さらに、春節に向けた特別なゲームイベントも活発に行われている。miHoYoは「原神」「ゼンレスゾーンゼロ(Zenless Zone Zero)」「未定事件簿(Tears of Themis)」の3作品を合同で新春イベントに参加させ、「miHoYo新春祭」として大々的にPRした。網易のMMORPG「逆水寒(Justice)」では、8人の人気ゲーム配信者とコラボし、プレイヤー向けに「大宋春晩」と題したバーチャル春節番組を配信。これにより、単なるゲームイベントではなく、ユーザー同士が交流できる場を提供し、ゲームの世界観をより魅力的に演出した。
ゲーム市場が成熟するにつれ、単なる課金促進や短期的なイベントではなく、継続的なプレイヤー体験の向上が求められている。競争が激化する中、各社は長期的なブランド価値を高める戦略を模索しており、ゲームのストーリーや映像クオリティを向上させるだけでなく、プレイヤー同士のコミュニティを育成する施策も強化している。専門家は「ゲーム企業が長期的にユーザーを維持するためには、単なるプロモーションではなく、質の高いゲームコンテンツを継続的に提供し、プレイヤーとの関係を深めることが不可欠だ」と指摘する。
このように、ゲーム業界では春節の「巣ごもり経済」を活用し、売上の拡大だけでなく、ユーザー体験の向上やブランド価値の強化を図る動きが加速している。競争が激化する中で、各社はゲームコンテンツの充実とユーザーとの関係構築を重視し、持続可能なゲームエコシステムの確立を目指している。(c)東方新報