2年ぶりに、世界のスマートフォン市場が回復に転じた。
複数の調査機関のデータによると、2024年の世界のスマートフォン出荷台数は、2年連続の減少を終え、プラス成長に転じた。中国国内市場の出荷台数も大幅に増加しており、政府補助金などの政策支援も相まって、2025年には「買い替えブーム」が訪れる可能性があると分析されている。
雲南省昆明市のデジタル製品販売店スマートフォンを見る客(2025年1月20日撮影、資料写真)。(c)CNS/劉冉陽
市場調査機関Canalysの最新レポートによると、2024年の世界のスマートフォン市場は前年比7パーセント増の12億2000万台となり、2年続いた減少傾向から反発した。
また、市場調査機関カウンターポイント(Counterpoint Technology Market Research)のデータでは、2024年の世界のスマートフォン出荷台数は前年比4パーセント増。高価格帯スマートフォンの需要が牽引し、世界のスマホ市場の売上は前年比5%増加。平均販売価格も1パーセント上昇し、過去最高の356ドル(約5万4083円)となった。
特に中国市場は好調で、中国情報通信研究院のデータによると、2024年1月から12月の国内スマートフォン出荷台数は3億1400万台で、前年比8.7パーセント増加。そのうち5Gスマホは2億7200万台(前年比13.4パーセント増)で、市場全体の86.4パーセントを占めた。
さらに、中国は世界最大のスマホ生産国としての地位を強化。中国工業情報化部によると、2024年の中国のスマホ生産台数は16億7000万台(前年比7.8パーセント増)、うちスマートフォンは12億5000万台(前年比8.2パーセント増)となった。
2年間の停滞を経て、なぜスマホ市場が再び成長したのか?カウンターポイントのアナリストは「5G技術の普及に加え、カメラ性能の向上やプロセッサの高速化など、技術革新が進み、買い替え需要が高まったことが要因だ」と指摘している。
2025年も、スマホ市場の成長傾向が続くと予測されている。主な要因として、政府の購入補助政策とAI技術の進化が挙げられる。新たなAIアプリケーションが消費者の買い替え意欲を刺激すると期待されている。
証券会社の中原証券は2月18日に発表したレポートで「政府によるスマートフォンなどデジタル製品の購入補助が、市場の需要を刺激する」と指摘している。一部の消費者は「補助金があるならスマホを買い替えようと思っている」と語っており、買い替えの動きが活発になっていることがうかがえる。
中国のECプラットフォーム「天猫(Tmall)」のデータによると、2025年の春節(旧正月、Lunar New Year)の最初の3日間でスマホの売上は前年同期比50パーセント以上増加。また、京東(JD.com)のデータでは、春節期間中、湖南省(Hunan)と安徽省(Anhui)で補助金を利用したスマホの販売台数が前月比100パーセント増となった。
カウンターポイントのアナリストは、「補助金政策により、短期的には市場が活性化し、買い替え需要が急増している。2025年のスマホ市場成長の一因となる可能性が高い。ただし、長期的に見ると、消費者の買い替えを促進するには、革新的な製品や差別化されたサービスが必要だ。特に低価格帯の5Gスマホや、生成AI(GenAI)技術のミドル・ローエンド市場への普及は2025年の注目トレンドになる」との見解を示している。
また、中原証券のレポートでは「大手スマホメーカーが相次いでAI市場に参入しており、開発者によるAIアプリの充実が進むことで、AIを活用したスマホの普及が加速する」と分析。2025年には、AI機能を搭載したスマートフォンの普及率がさらに高まると予測している。(c)東方新報