最近、中国の生鮮プラットフォーム「盒馬鮮生(Hema Xiansheng)」は相次いで食品安全問題を報じられている。販売した卵の問題がまだ収束しないうちに、今度はキウイから基準値を超える成分が検出され、市場の注目を集めている。
南京市(Nanjing)江寧区市場監督管理局が発表した「2025年第2期食品安全監督抽検情報公告」によると、南京盒馬網絡科技有限公司第九分公司が販売するキウイから、「成長促進剤」として使われる農薬(CPPU)が基準を超えて検出された。検査結果は基準の1キロあたり0.05ミリを上回る、0.085ミリの成分が検出された
CPPUは果実の肥大化を促す目的で使用される農薬であり、中国国内では使用が許可されているが、使用時期や用量には厳格な管理が求められている。今回の基準超過について、現時点で盒馬鮮生からの説明は出ていない。
商品を並べる盒馬鮮生のスタッフ(2022年4月26日撮影、資料写真)。(c)CNS/富田
一方、卵の問題については、さらに深刻な波紋を広げている。
2025年5月8日、山東省(Shandong)市場監督管理局が発表した食品安全抽検結果によれば、盒馬鮮生濰坊店で販売された「保潔無抗鮮鶏蛋」(製造日:2025年2月17日)から、食品中で使用が禁止されている抗原虫薬「ジメトリダゾール」が1キロ当たり15.5マイクログラム検出され、さらに「トリメトプリム」も1キロ当たり13.0マイクログラムと、基準値(1キロ当たり10マイクログラム)を超えていた。これらは共に抗菌剤の一種で、長期摂取による健康リスクが指摘されている。
この問題に対し、卵の供給元である小町蛋業は「第三者機関での再検査では合格していた」と発表したが、山東省当局は正式な再検査申請が提出されていないため、結果は公的に認められないとしている。盒馬鮮生は当該商品について返金対応を行っているが、一部の購入者からは「注文記録が確認できない」との声も上がっている。
実際、今年に入ってから盒馬鮮生では他にも、梨からの基準値超えの農薬検出、生鮮魚から抗菌剤の過剰検出、生野菜にカエルが混入するなど、食品に関する問題が相次いで報じられている。
このように続発する安全問題により、生鮮食品を主力とする盒馬鮮生の品質管理体制には大きな疑問が投げかけられている。かつては「新しい小売の未来形」と称された盒馬鮮生だが、急速な出店ペースと拡張路線の裏で、品質と信頼の維持が課題として浮かび上がっている。
企業の成長において拡大戦略は重要だが、消費者の信頼を勝ち取るには、何よりも食品安全と品質管理を最優先とする姿勢が求められている。今回の卵とキウイの問題は、その原点を改めて問うものとなった。(c)東方新報