高齢者向けおもちゃがブームに?シニア市場を支える新潮流
时间:1749714957000 来源:東方新報

知育チェス盤やリストボール、リバウンドボールなど、もともと幅広い年齢層に親しまれてきた玩具が、近年では高齢者の健康維持やレクリエーション目的でも注目されるようになっている。中国の高齢化が進むなか、高齢者向けとして再注目されたこれらの製品が、シルバー経済の新たな成長分野となりつつある。


「シルバー世代」の見えづらかったニーズが、どのようにして新たなイノベーションの引き金となったのか。高齢者向けおもちゃの普及が描き出す未来のシルバー経済とは?


静岡県の高齢者施設では、30人以上の高齢者が知育木製パズル「数字タイル」や迷路を使って集中して遊んでおり、中国・広州市(Guangzhou)の老人ホームでは、木製の卓上ホッケーを楽しむ高齢者たちの姿がある。こうした遊びが、世界中の高齢者を魅了し、新たな「シルバー経済」の波を起こしている。


福建省福州市にある福祉施設で象棋(シャンチー、中国将棋)をする高齢者たち(2024年2月7日撮影、資料写真)。(c)CNS/王東明


中国国家統計局によると、2024年末には60歳以上の人口が初めて3億1000万人を突破した。この背景のもと、高齢者向けおもちゃは「隅のジャンル」から「新たな消費トレンド」へと急成長している。


過去1年間で淘宝(タオバオ、Taobao)における「高齢者向けおもちゃ」の検索数は前年比124%増、購入数は70%以上増加している。55歳以上の購入者の比率も上がっており、今も成長中である。


浙江省(Zhejiang)義烏市(Yiwu)で10年以上子ども向けおもちゃを扱ってきた商人・関衛江(Guan Weijiang)氏は、この変化をいち早く察知した。彼の店舗では、手首を鍛える「リストボール」や「ビーズ型ルービックキューブ」などがシニア層に大ヒット。今では50歳以上のユーザーが全体の3割に達しているという。


関氏は「高齢者向け市場は大きな潜在力がある」と判断し、事業を本格展開。多くの子ども用おもちゃは、少し工夫すれば高齢者用に転用できるという。試験的に導入してからわずか3か月で、10種類以上の商品が想定以上の売れ行きを見せた。


■木製玩具産業の再生と「夕陽市場」の未来


高齢者向けおもちゃの需要は、伝統産業にも変革をもたらしている。浙江省麗水市(Lishui)の雲和県(Yunhe)では、長年培ってきた木製玩具のノウハウを活かし、老年ケアと組み合わせた「知育玩具産業チェーン」が生まれている。


例えば、地元の学習施設では高齢者が「テクニックボール」遊びを体験。見た目はシンプルでも、手首の力や集中力を鍛えるのに最適だという。


これまでに、雲和県では手足の協調性や記憶力向上に役立つ木製おもちゃ200種以上を開発。企業のひとつ「米米智康科技」は、西安交通大学(Xi'an Jiaotong University)の医学チームなどと連携し、500以上の高齢者施設に製品を提供してきた。特許も30件以上取得している。


さらに、雲和県は海外展開にも積極的で、日本やドイツの高齢者施設やコミュニティにも木製おもちゃを輸出。現地の文化に合わせた商品開発(例:ドイツ向けチェス、日本向けけん玉)により、売上は前年比50%増を記録している。


雲和県の企業「金成木業」では、年間1000万セットの木製玩具生産体制を構築中。今後は「東洋哲学×ミニマルデザイン」をテーマに海外市場をさらに開拓していく。


■「老いても楽しむ」ことの重要性


「父におもちゃを買うなんて、かつては考えられなかった」。杭州市(Hangzhou)の李(Li)さんは語る。父親は最近、箸を持つ手が震えるようになったが、リハビリ目的で購入したグリップおもちゃが好評だった。また、AIと対戦できる知育チェス盤も、孤独を紛らわす手段として役立っているという。


中山病院の中医師・李思敏(Li Simin)氏によれば、高齢者向けおもちゃの普及は「精神的な充足ニーズに社会が応えた結果」だと語る。単なる生活保障ではなく、「生活の質」を求める時代に移行しつつある。


トランプやボードゲームのような「多人数で楽しむおもちゃ」は、社交的な交流を促進し、ストレスの軽減にもつながるという。自身の趣味に合わせて玩具を選ぶことも重要だ。たとえば、音楽が好きな人にはリズム系のおもちゃが向いている。


■膨らむシニア市場とその将来


中国民政部の推計では、今後10年間で毎年1000万人以上が高齢者人口に加わるとされ、2035年には銀髪経済がGDPの6%から9%へと成長する見込みだ。


企業情報データバンク「企査査(Qichacha)」によれば、2024年だけで8.3万件の関連企業が新規登録され、過去10年で最多を記録。今年1月~4月の新規登録数は前年比約9.3%増。


高齢者介護ロボットやAI診断ロボット、「シルバー専用列車」、看護師や改修コンサルタントなどの新職種も登場しており、専門家の張勁松(Zhang Jinsong)氏は「市場細分化による新たなチャンスが次々に開かれている」と指摘する。


張氏は「60〜70代の『新世代高齢者』は積極的に消費行動を起こし、『老い=衰退』という固定観念を打破している」と述べ、今後のシルバー経済は「生活防衛型」から「質と楽しみを重視する型」へと進化すると展望している。(c)東方新報


网友评论

0 条评论

所有评论
显示更多评论